さいとう実咲
元 名古屋市会議員(中区選出)
平成23年(2011年)11月28日 個人質問
◆(さいとう) 皆さん、こんにちは。本日、最後の個人質問となりますので、今しばらくおつき合いくださいますようよろしくお願い申し上げます。
それでは、通告に従いまして、随時質問をさせていただきます。
脱原発に向けての本市の取り組みであります。
3.11の東日本の大震災を引き金に発生した東京電力福島第一原発の事故以来、急激に原子力発電所の是非の議論が進んでいます。原発推進派バーサス反原発派の図式で、議論だけではなくデモなど、この国にとっての大きな問題になりつつあります。
原発推進派の電力が足りないという言いわけのもと、九州電力管内の玄海原発4号機の再稼働が始まりました。
現在、原発にかわるエネルギーとして多くの再生エネルギー、特に東京都でも議論の対象になっている天然ガス、シェールガスなどの具体的な原発にかわるエネルギーの議論も進んでいます。
本市も、現在停止中ではありますが、浜岡原発を抱える中部電力管内であることも踏まえ、より積極的に議論すべき問題であります。しかし、このシェールガスを初めとした再生可能代替エネルギーは、あしたからかえられるという簡単な話ではないため、しっかりとした方向性を示し、熟慮すべきと考えます。
とはいえ、悠長なことを言っている場合ではありません。あした何が起きるかわからない中で、一日も早く責任ある対応をすることが政治に課せられた義務だと考えます。
そこで、本市として今何をするべきか、できることから始めるという基本に立って何ができるか。
まず、原発バーサス反原発という考えを捨てるべきです。震災によって起きた事故でヒステリックに反原発を叫ぶのではなく、そもそも原発など必要ないという冷静な観点で、しっかりとした脱原発へ向かうことこそが本市の進むべき道であります。
先日、現在の政権与党の元代表の議員がインターネットの番組で、原発問題を解決しなければ何をやってもだめと言っていたとおり、どんなすばらしい政策も、どんなに幸せな生活も意味がなくなってしまいます。だからこそ、明確に脱原発を掲げ、一日も早く廃炉にするために動き出すべきです。
ここで必ず電力不足という主張が出てきます。これを解決すれば、脱原発への道が開かれます。その具体的な方法の一つをお話しいたします。それは、既に現存の施設で代替電力として機能するものが存在するのです。
資源エネルギー庁の資料によりますと、平成22年9月末時点での全国の自家発電施設は3,249カ所。そのうち2,569カ所が火力発電です。しかし、この施設の多くが稼働せずに眠っております。これらの施設の認可出力量は約5380万キロワット。日本国内すべての原子力発電所の認可出力量は4896万キロワット。すなわち、火力の自家発電だけで日本の原発全54基の総認可出力量を上回っております。
これを稼働し、供給することができれば、すべての原発を廃炉にしても電力が足りないなどという主張は通用しません。なぜこの貴重な電力を生かそうとしないのか。これは、一つの電力会社がある地域の発電も送電も小売も独占するというシステムに問題があります。
戦後の復興期だからこそ必要なシステムであり、今の時代にはそぐわないシステムです。だからこそ、1995年の電気事業法の改正により、電力会社による発電と小売の独占が一部緩和されたのです。一部緩和されたとはいえ、まだまだ独占的な部分も多く、このような自家発電が進まない原因にもなっています。
そこで、市長も何度か発言されている名古屋電力を設立し、脱原発の後押しを積極的に行うべきと考えます。
名古屋電力が実現することで起こるであろうメリットを幾つか上げたいと思います。
第1に、先ほどからお話ししている自家発電のさらなる推進。これは、安全な発電という側面だけではなく、今回の原発事故で推進された節電キャンペーンによる経済の停滞を避けることもできます。
第2に、電気料金の値下げ。日本の電気料金は諸外国に比べ高いと言われます。自由化が進み、競争が活発になることで当然安くなります。
第3に、非常時の電力の安定供給。さきの震災のような非常時において、電力の安定供給、それができなくなることで、当然市民の快適な生活を脅かします。また、自動車関連企業の輪番休業などにより経済に対する影響もはかり知れません。
本市が責任を持って電力の安定供給に導き、市民、民間企業に負担をかけないのは当然のことです。私は、政治というものが節電、増税など市民、国民に頼るのは末の末、最後の手段だと考えます。その前に、政治にやれることを果たすことが政治に携わる者の責務です。その責任を果たさずに、市民、国民に負担を求めるなどという考えは言語道断です。
原発問題も同じこと。本市が責任ある取り組みを行い、一日でも早く市民の安心・安全を確保すべきと考えます。
そこで、総務局長に質問いたします。現在、本市では、このようなエネルギー問題にどのような取り組みをなされているのでしょうか。また、その取り組みはどのような人員構成で行われているのでしょうか。さらには、IEA--国際エネルギー機関の発表した電力事情に対した数値は御存じでしょうか。
市長にも質問をいたします。本市及び本市長として、市民の安心・安全を守るため、明確に脱原発に向かう考えはおありでしょうか。また、かねてから発言されている名古屋電力設立に対する本気度、具体的な構想などをお聞かせください。
以上、第1回目の質問を終わります。
<<当局回答>>
◎市長(河村たかし君) 私も、脱原発で取り組んでいくべきだとはっきり思っております。
これは、国会議員をやらさせていただいておったときから、原発は危険であるとはっきり文書にも書いておりまして、あのときにだれも褒めてくれぬですけど、あそこまで書くのはそうおらなかったんですけど。
今回、トリノへ行って日本食料理屋へ行きましたね、中田さん、横におったけど。あそこで、あそこの日本食料理屋さんが、とにかく日本食が売れぬようになって大変困っておるという話もありまして、名古屋は本当に幸いというと怒られますけど、被害がないでいいんだけど、福島から東北の方、魚の関係もそうだけど、それから、そんなトリノの日本食料理屋さんまで、地獄の苦労だと思いますよ。こんなことを、安全だ、安全だと言って国会議員を接待しまくって、それでやってきた本当の独占体制は本当にいかぬですよ。
そういうことでございまして、私は、原発は危険だという前提で、ちょうど中部においては、ほとんど原発に頼らぬでもできる、やれるという数字はほぼ確実に出ておりますので、新しい取り組みをやっていかないかぬと。
まず、一つは、産業政策もありますけど、昔は、余り言うとオオカミ少年みたいなもんで、そう僕も言いたなかったんですけど、もう既に今回の福島のを見ておって、オオカミ少年ではないですよ。例えば、福井の原発で万が一のことがあったときに、名古屋の人、全部住めぬようになっちゃいますわ。もんじゅは、政府は今、どうもやめるような、わかりませんけど、言っていますけど、美浜原発でも両方とも事故を起こしておりますので、それで、この間行ってきたときに、両方からハザードマップを出してくれと保安院に言いましたけど、これはまだ出ておりません。だから、相当な決意を持って、名古屋市民の安全な生活を守るために取り組まないかぬと、こんなふうに思っております。
それから、そのためには、別に中部電力が憎いわけではありませんけれども、やっぱり1社独占というのは、どうしてもこうだと決めちゃうとそっちになっていってしまうんですわ、もう一回。
ほんだで、僕は、もう一つ、よく言いますけど、通信会社が発達したのも、無線もあるという状況の中で、ラスト・ワン・マイルといいますけど、一番最後の電話線をNTTが開放したと。あれが爆発的に通信産業を世界に冠たるものにしたわけですよ。
だから、名古屋として、ちょうど地下鉄やら、それから、上下水道なんかもありますし、今のところは送電網の開放は不十分ですけれども、やっぱりそれに取り組んでいくと。
それは、脱原発、市民の安全を守るためと、もう一つ、産業政策の面からいっても、東京と大阪はやりかけていますので。だから、名古屋に来る場合に、税金が安いのも、ぜひ私はセールスポイントにしたいけど、もう一つ、エネルギーが非常に安くて安定的に供給できるところだということ、ぜひセールスポイントにしたいということで、この間のうちから当局に、早くプロジェクトチームをつくると、ないし担当者を一人決めてくれと申し上げておりますが、なかなか権威がないもんですからいかぬですけど、さらに強く、これは名古屋の将来のために、上下水道局はありますから、水なら。だから、エネルギーについての担当、局といって、今、こういう時代ですからわざわざ持つ必要はない、わかりませんけど、将来わかりませんが、兼務でええと思いますけど、だれかが私が責任を持っておりますというふうに言える体制を一刻も早くつくりたいと、そんなふうに思っております。
◎総務局長(三宅勝君) 脱原発に向けての取り組みということで、私どもに数点お尋ねをいただきました。
まず、本市のエネルギー問題の取り組みとエネルギー政策検討会の人員構成ということでございますが、本市におけるエネルギー問題に係る取り組みや、本市では、浜岡原子力発電所の停止を受けまして、夏場の電力の安定供給に対する懸念から、本年5月にエネルギー政策検討会を組織いたしまして、喫緊の課題でございます節電対策と中長期的な課題であるエネルギー対策につきまして、検討することといたしたところでございます。
エネルギー政策の課題検討につきましては、さまざまな視点からの議論が必要となりますので、その構成は、総務局、財政局、市民経済局、環境局、健康福祉局、子ども青少年局、住宅都市局、緑政土木局、教育委員会事務局、消防局、上下水道局、交通局及び病院局、合計13局の関係部署の課長級職員合計17名が参画をいたしまして、局横断的に組織しておるところでございます。
これまでのエネルギー政策検討会の状況といたしましては、喫緊の課題とする夏場の全庁的な節電対策と、市民や事業者の皆様への広報啓発に取り組みまして、2度にわたり緊急プログラムを取りまとめ、実施をし、その結果を10月末に報告書としてまとめたところでございます。
夏場の節電対策につきましては、昼間の13時から16時の電力需要ピーク時間帯におけるピークカットに取り組んだところでございますが、庁舎の照明の一部消灯、あるいはエレベーターの一部停止などによりまして、市民や事業者の皆様には少なからず御不便をおかけしたことと思います。また、各御家庭や職場におかれましても、冷房温度の調整など節電に御協力をお願いいたしました。おかげさまで大過なくことしの夏場を乗り切ることができましたので、この場をおかりし、改めてお礼申し上げたいと存じます。
さて、中長期的な課題でございますエネルギーの効率的利用、多様化、分散化など、こういった検討につきましては、現在、国のエネルギー・環境会議におきまして、新たなベストミックス、新たなエネルギーシステム及び国民合意の形成の三つを基本理念といたしまして、革新的エネルギー・環境戦略の策定に向けての議論が進められております。
年末には戦略の基本方針が公表され、国民的議論を経て、来年夏ごろに決定される予定と伺っております。この国民的議論のもとに策定されることとなる国の革新的エネルギー・環境戦略の動向を注視しつつ、基礎的自治体として何ができるのか、何をなすべきなのか、検討を鋭意進めてまいりたいと考えております。
また、もう一点、IEAの発表の電力需要の数値を知っているかという御質問でございます。
突然のお尋ねでございまして、また、国際的な話でございますので、なかなか十分なお答えではないかもしれませんが、承知しておりますのは、今後、新興国が世界エネルギーの需要を牽引し続ける、あるいは天然ガスと再生可能エネルギーがますます重要になるであろうと、そういったレポートが出ておることを承知しておる次第でございます。
以上でございます。
<<歳質問>>
◆(さいとう実咲君) それぞれ答弁いただきましてありがとうございます。
総務局長の言われたエネルギー検討会と名古屋電力の設立は別であることはわかりました。報告書も拝見いたしましたし、また、IEAのデータですが、こちらの数字を見ていただいても、ちょっと時間がないので、少し言わせていただきますと、2011年の3月15日に原発が爆発した直後に、国際エネルギー機関IEAは、日本は原子力発電の不足分を補うだけの十分な石油、火力発電による余剰能力を有しているとの見解を発表しています。これらの大切なデータを判断していただきますと、どうして節電キャンペーンにつながるのか、ちょっと理解ができません。
節電によって起きた経済状況、どこぞが動かぬから地方自治体ができること、その中でも名古屋からしかできないことはありましょう。
そこで、本名古屋市の河村たかし市長にお尋ねいたします。早急に名古屋電力を具体的に進めるためのプロジェクトチームの設立を求めます。このプロジェクトチームには、本市の職員だけではなく、各会派の議員、民間、専門家などを含めた強力なチームであるべきと考えます。このようなプロジェクトチームを設立する考えはおありでしょうか。
◎市長(河村たかし君) 早急に設立したいと思っております。
それは、脱原発、市民の安全ということは一つですけど、もう一つ、産業政策上、水もそうですけど、エネルギーというものに対して真剣に取り組んでいる名古屋の姿というのを出すことは、企業は必ず喜んでくれると思いますので、早急にプロジェクトチームをつくって取り組んでいきたいと思います。
◆(さいとう) しっかりと機能するようなプロジェクトチームをぜひとも皆様でつくり上げられますように強く願って、この質問を終わります。ありがとうございました。
