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平成25年(2013年)11月28日 個人質問

 

◆(さいとう) お許しをいただきましたので、通告に従いまして、随時質問をさせていただきます。

 

 震災時における火災が広がらない市街地整備の進め方についてお尋ねをいたします。

 

 1923年、大正12年9月1日、関東地方南部を襲った大地震、いわゆる関東大震災により、死者・行方不明者10万5000人余り、家屋の全壊10万9000、焼失21万2000という未曽有の大災害がもたらされました。地震の発生時刻が昼食の時間帯と重なったことから136件の火災が発生するなど、被害総額は、当時の国家予算の1年4カ月分と言われ、東京、横浜を初め都市部では、地震後に発生した火災のために被害が著しく大きくなりました。

 また、1995年、平成7年に発生した阪神・淡路大震災においても、特に神戸市の長田区におきましては、木造住宅が密集していた地域を中心に火災の被害が甚大で、地震直後に発生した火災に伴う火災旋風が確認されるなど、被害の拡大につながりました。この地震で発生した火災により全体で7,000棟近い建物が焼失しています。

 さて、東日本大震災における津波の映像が強く印象づけられていることも手伝いまして、本市の震災対策は、どちらかといいますと津波対策に重きを置いているように感じています。国においては、高潮防波堤の整備が進められる予定ですし、また、市南西部においては、小中学校の津波避難ビル化が進められるなど、津波対策が進められています。

 しかしながら、既往災害においては、関東大震災による火災による死者数に代表されるように、都市部における家屋の倒壊や火災で亡くなる方が多く、南海トラフ巨大地震の発生が危惧される中、万が一、火災が発生した場合には、本市においても延焼が拡大するおそれがあります。

 東京都では、平成24年1月、木密地域不燃化10年プロジェクトの柱の一つとして、市街地の不燃化を強力に進める新たな制度である不燃化推進特定整備地区、いわゆる不燃化特区の創設などのプロジェクトの具体的な取り組みを示しました。

 この不燃化特区制度は、木密地域の中でも特に改善を必要としている地区について、従来よりも踏み込んだ取り組みを行う地域について区が申請を行い、都が不燃化特区を指定し、不燃化のための特別の支援を行うことなどにより不燃化を推進していくものであり、平成24年度に制度構築を行い、平成25年度から本格実施されています。

 具体的には、区の取り組み内容に応じて、必要とする助成制度の創設や体制強化のための仕組みづくり、ノウハウの提供など、不燃化特区独自の支援策を提供するというものです。

 不燃化まちづくり助成事業の具体的な施策を紹介いたしますと、地区において防災道路に位置づけた道路の沿道において、地区計画に基づき建物の壁面後退等を行う場合に、都市防災不燃化促進事業に基づく沿道建物不燃化建替え助成に上乗せして奨励金を交付する壁面後退奨励金交付事業、また、戸建て住宅の建てかえ工事を行う建築主に対して、建築設計・監理費及び除却費の一部を助成する戸建て建替え助成事業、そして、敷地が道路に接していないなど、建てかえに課題のある地権者の方などに対し、区が建築士、弁護士、税理士、不動産鑑定士、土地家屋調査士といった専門家を派遣し、建てかえの実現を支援する専門家派遣支援事業、さらには、不燃化特区内での建てかえや老朽住宅を除却して適正に管理する場合、土地または建物の所有者に対して固定資産税及び都市計画税を都が5年間減免する不燃化特区支援税制などが挙げられます。

 また、阪神・淡路大震災を経験した神戸市では、防災性や住環境にさまざまな課題を抱える密集市街地において、路地が残る地区の雰囲気を残しつつ、安全で安心なまちづくりを進めるための取り組みを行っています。

 幅員4メートル未満の道路に接する敷地を含む地区において、区域全体の道路計画及び建築物に関する位置、構造及び用途の制限に関するルールを近隣住環境計画として定め、神戸市がその計画に配慮して法令による規制や緩和を弾力的に運用し、許可などにより建築を可能とするものです。あわせて、火事や地震などの災害時に、延焼防止のためのスペースや地域の防災活動の場となる空地の整備を促進するため、まちなか防災空地整備事業に取り組んでいます。

 この制度は、まちなか防災空地を整備することについて、土地所有者や地域のまちづくり協議会、神戸市の3者で協定を締結し、神戸市が土地を無償で借り受け、まちづくり協議会が神戸市の補助を受けて、まちなか防災空地の整備、維持管理をするというものです。

 このまちなか防災空地は、災害時には、一時避難場所や消防活動用地、緊急車両の回転地など、防災活動の場として活用し、平時は、広場、ポケットパークなど、コミュニティーの場として利用されています。このほか、老朽建築物を解体した跡地を提供していただける方に対し、建物解体費に対する補助を行っています。いずれの施策も、まち全体の不燃化を進めるものであり、その効果が期待されています。

 そこでお尋ねいたします。震災時において、火災が広がらない市街地を形成するため、不燃化のまちづくりを進めていくことが重要であり、防災まちづくり計画でも検討していると聞いておりますが、当局としてどのように検討を進めておみえでしょうか。住宅都市局長にお伺いして、私の第1回目の質問を終わります。ありがとうございました。

 

 

<<当局回答>>

 

 

◎住宅都市局長(田宮正道君) 震災時における火災が広がらない市街地整備の進め方についてお尋ねをいただきました。

 本市では、これまで、関東大震災、阪神・淡路大震災などを教訓に、主に大規模地震に起因する市街地火災を対象として、避難地、避難路となる道路・公園の整備や、土地区画整理事業を中心とした基盤整備を推進するとともに、都市防災不燃化促進事業により、避難計画上、安全を確保する必要性が高い骨格避難路の沿道などにおいて不燃化を促進してまいりました。

 こうした取り組みによりまして、市域全体としては、都市の骨格を形成する道路、公園などが高い水準で整備された比較的安全性の高い市街地が形成されてきたものと考えておりますが、一方で、住宅が密集し、地震が発生した場合に、建物の倒壊や火災の危険性がある市街地がまだ残っていることも認識をしておるところでございます。

 東日本大震災以降、津波への対応に焦点が集まっておりますが、議員御指摘のとおり、当然震災時の火災の発生や延焼を防ぐ対応も必要であり、火災・津波を含めた地震災害に強いまちの形成に向けた市街地整備・改善の計画を防災まちづくり計画として策定すべく取り組んでいるところでございます。

 計画の策定に当たりましては、想定される地震の規模から、市街地の燃え広がりやすさや、建物倒壊により道路が塞がる危険性などを評価いたしまして、必要な対策の検討を進めることとしておりますが、今後の火災対策といたしましては、これまでのように行政主導による面的な整備を行うのみならず、地域の主体性を尊重いたしまして、その取り組みを支援することで、それぞれの地域の特性に応じ、地域の資源や雰囲気等にも配慮したきめ細やかな防災まちづくりを着実に進めていくことが重要であり、そのためには、建物の耐震化はもとより、老朽木造住宅を除却し、建てかえを促進することも必要であると考えております。

 こうしたことから、老朽木造住宅の除却、建てかえに対する助成などの支援策の方向性や、こうした施策をどのような地区で実施すべきかなどにつきまして、議員から御紹介のありました東京都や神戸市の取り組みを参考にしながら検討してまいりたいと考えております。

 その上で、防災まちづくり計画で定める施策の方向性を踏まえつつ、個別の事業や支援策としての具体的な制度を構築し、火災が広がらない市街地の整備を進めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 

 

<<再質問>>

 

◆(さいとう) 住宅都市局長より御答弁をいただきました。ありがとうございます。

 防災まちづくり計画で定める施策の方向性を踏まえた制度構築を進めるとのことであり、こちらは大変高く評価をさせていただきます。

 木造住宅密集地域は、名古屋市各地にまだまだ多く点在していると思います。大規模な震災が発生した場合には、各地で火災が燃え広がる可能性がありますが、私は、これらの被害を少しでも軽減するためには、火災被害の局所化を進める必要があり、そのためには、まち全体の不燃化対策を早急に進めることが重要だと考えています。

 そこでお尋ねをいたします。まず、震災において、木造住宅の密集により火災が燃え広がる危険性の高い地域が市内に何カ所あるのか、また、市域のどのあたりに集中しているのか、住宅都市局の認識についてお答えをください。

 あわせて、震災はいつ発生するかわからないものであり、対策を早急に進めることが重要と考えますが、防災まちづくり計画をいつ策定するのか、予定時期についてもお答えをいただきたいと思います。

 

 

 

 

◎住宅都市局長(田宮正道君) 震災対策に関連して、再度のお尋ねをいただきました。

 震災時に火災が燃え広がる可能性があると思われる木造住宅密集地域は、そのほとんどが第2次世界大戦前からある市街地で、戦災を免れた地域にあるという認識をしております。

 具体的には、国におきまして、全国ベースで地震時等に著しく危険な密集市街地として、中村区の米野地区、瑞穂区の御劔地区の2地区が指定をされているところでございます。

 また、本市の都市計画マスタープランにおきましては、この2地区に加えまして、北区の大杉、杉村地区ですとか、南区の笠寺地区など9地区を加えまして、11地区を今後防災性の向上が求められる木造住宅密集地域として位置づけておるところでございます。

 次に、防災まちづくり計画の策定につきましては、現在、学識経験者と庁内関係部局で構成する防災まちづくり計画検討会で検討を進めておりますが、別途地震対策専門委員会で検討が行われております南海トラフ巨大地震の本市の被害想定を踏まえまして、来年度の早い段階に防災まちづくり計画を取りまとめていきたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 

 

 

 

◆(さいとう) 御答弁ありがとうございました。

 木造住宅密集地域において、火災が広がらない市街地整備が進むきっかけになればと考え、今回この質問に取り組んだ次第です。

 木造住宅密集地域は、まだまだ市内各地に残されているとのことですので、震災時における火災が広がらない市街地に向けて、防災まちづくり計画検討会での議論をさらに深め、名古屋市の実態に即した施策の方向性を防災まちづくり計画の中で示していただきたいと思います。

 その上で木造密集地域における施策を検討するとのことですが、私は、市街地の不燃化を強力に進めるためには、東京都で実施している不燃化住宅への建てかえに伴う固定資産税の軽減など、税制を含めた総合的な施策が有効だと考えます。今後、財政局とも連携し、効果的な施策について検討をしていただきたいと思います。

 震災時に火災が広がらない市街地に向けた有効な施策を実施されることで、市民の皆様方の安心・安全につながることを期待いたしまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

 

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